東愛知新聞健康コラム
日々是養生3 (H15/09/27)
●男性の老化
世界最古の医学書とされる「黄帝内経素門」に、人間の成長過程は、女性は7才ごと、男性は8才ごとに変化が表れると書かれています。例えば、女性は14才で月経が始まり、28才で女盛りとなり、男性は16才で生殖能力が備わり、32才が男盛りを迎えるなどです。そして、大きな節目、女性は7×7の49才、男性は8×8の64才には、今で言う更年期障害の症状が出ると記載されています。
最近、男性にも更年期障害があると話題になっています。いわゆる男性ホルモンである「テストステロン」が減少してのぼせ、気力の低下、性欲低下、勃起障害などの症状が現れます。女性ホルモンと比べてゆっくりと低下していくので今まであまり問題にされてこなかったのです。しかし、約三千年前に書かれたとされる本にいわゆる男性の更年期障害について記載があることに、東洋医学の奥深さを感じます。
この時期を元気に乗り切る養生法は、①体力に合った食事、つまり自分の力で捕まえることのできる食品、鶏などの小動物、小魚、貝、海草中心に食べる。②虚心坦懐の心境に心がける(心身共の疲労を防ぐ)③季節にあった生活、春夏は活動的に、秋冬は静かに過ごす。などが記されています。現代医学に照らしても十分に納得できる内容です。現在は、ホルモン剤、抗うつ剤、バイアグラ、漢方薬などの薬がありますが、やはり、これらの養生法を参考に、適度な運動、バランスのとれた食生活、上手にストレスを回避するなどの生活習慣の改善が大切ではないでしょうか。
男性の更年期障害は、じわじわやってきます。そのため、自分が更年期障害と気付かなかったり、気付いても周囲の人に理解してもらえなかったりすることが少なくないようです。日常生活に注意しながら、それでも辛い症状が続く場合は、がまんせずに、かかりつけ医に相談してはいかがでしょうか。
西田メディカルクリニック 西田 元彦