院長コラム

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花粉症の漢方治療と民間治療

体質から治す漢方治療

漢方的にみた花粉症は、体内の水分バランスの異常(水毒症)に基づく病態とされています。
漢方薬には、現在、鼻水やクシャミなどのアレルギー症状に苦しんでいる時に飲むタイプのものと、現在症状がなくても体質を改善するために飲むタイプのものがあるのです。

★飲んですぐ効く漢方薬

小青竜湯(肥満やや肥満やややせタイプ
              ・・・アレルギー性鼻炎のファーストチョイス、特に水様性鼻水、涙目に
 麻黄附子細辛湯(やややせタイプ、やせタイプ)・・・中高年向き、頓服ですぐ鼻汁が止まる
 苓甘姜味辛夏仁湯(やせタイプ)・・・胃腸が弱く、顔色も悪いひと向き
 辛夷清肺湯(すべてのタイプ)・・・とにかく鼻詰まりに悩んでいるひと向き

★体質改善のための漢方薬

 当帰芍薬散(やせやややせタイプ)・・・冷え症、色白タイプ
 桂枝茯苓丸(肥満やや肥満タイプ)・・・鼻の頭が赤い、ほてり、月経痛
 柴胡桂枝湯(やや肥満、やややせタイプ)・・・慢性のカゼ引き、微熱を伴うひと
防已黄耆湯(肥満、やや肥満タイプ)・・・水太りタイプ、眼、鼻のかゆみの強いひと

 

花粉症のケーススタディ

[ケース1]冷え症とともに花粉症が治ったケース

43才の女性が冷え症と食欲不振を漢方薬で治してほしいと夏ごろに来院しました。やせ型で細面の背の高いひとです。
この患者さんは、数年来の冷え症で、クーラーにとても弱くて困っている。夏でもハイソックスをはいているがそれでも冷えてつらい。最近では食欲もなくなってきたとの訴えでした。手足は冷たく、お茶やコーヒーが好きで、ついつい飲み過ぎてしまう。そのわりには尿量が少なく1日3~4回くらいです。この状況は、水が溜まった水毒状態でそのため胃腸の動きも悪くなり、食欲も低下していると判断しました。このため、当帰芍薬散を中心とした漢方薬を処方しました。2ヶ月間ほど服用したところ食欲、冷え症もよくなったとのことで薬を中止してはと話したところ何となく調子がよくもう少し飲みつづけたいといわれ、服薬を続けました。服用して8ヶ月間ほどした花粉症のシーズンの時、患者さんから「この薬は花粉症にも効くのですか。毎年この時期は鼻水ですごく苦しむのですが今年はすごく楽なのです」と言われました。
これは、冷え症、食欲不振の治療のため服用した漢方薬で「水毒体質」が改善したために、思いもしなかった花粉症まで治ってしまったケースです。
[ケース2]柴胡桂枝湯で体質改善

42才男性が10年来の花粉症で悩んでいると来院されました。体格は中肉中背ですが、春になるとクシャミ、水様性鼻水が頻発し、涙が出て眼も充血します。しばしば、微熱の伴うカゼをこじらせカゼか花粉症か分からないこともしばしばあるそうです。
お腹を触ると上腹部に抵抗がありました。このようなケースは、柴胡桂枝湯が効くタイプです。そこで、とりあえず症状をとるための小青竜湯と合わせて柴胡桂枝湯を飲んでもらいました。約2週間ほどで鼻水などが止まり、カゼも引きにくくなり、8ヶ月間ほどですっかり体調がよくなりました。
このように、柴胡桂枝湯などの漢方薬は、抗アレルギー作用だけでなく、体質改善によって免疫力が高まり、カゼなどの感染症を起こしにくくなります。
[ケース3]難治性アレルギー性副鼻腔炎を辛夷清肺湯で改善

29才女性が耳鼻科にて2年間副鼻腔炎で通院しているが、通院していると何とか症状が治まるが治療を中止するとすぐ鼻水、鼻づまりが再発する。また抗ヒスタミン剤を飲むと眠けがあって仕事にもさしつかえるとのことで来院されました。
漢方薬は、以前小青竜湯を飲んだがあまり改善しなかったとのことで、とりあえず、眠けが少ないが効果も若干弱い抗ヒスタミン剤に併せて鼻詰まりに効果的な辛夷清肺湯を飲んでもらいました。始めの2週間は特に変化を認めませんでしたが、3週間ほど服用すると徐々に鼻づまりが改善し、抗ヒスタミン剤は必要ではなくなり、結局6ヶ月間ほど服用してもらい症状がほとんどなくなったとのことで治療が中止できました。以後しばしば軽度の鼻づまり症状が出ることがありますが、短期的に漢方薬を服用することでコントロールできています。
以前は、大部分の原因が細菌感染といわれた副鼻腔炎も近年ではアレルギーが原因であるケースが増えてきました。こんな中、副作用などの観点からいつまでも抗生物質、抗アレルギー剤を服用することは問題です。このケースでは漢方薬との併用で西洋薬を中止することができました。

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