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学会発表

ペパーミントの清涼感の証明(第38回日本生気象学会)

 目的
種々の香りは、人体に何らかの影響を与えるとされ、いろいろな効能、効果が呈示されています。その中で、ペパーミントは、経験的に「涼しさ」をもたらすといわれ、暑い夏を乗り切るためにいろいろな形で利用されています。このペパーミントの生理的な変化を確認するため、高温環境下でペパーミントを吸入しその影響を観察しました。
 方法
健康人6名を対象に、高温環境下(38±1℃)の人工気候室にて、脳波にて睡眠状態を確認後、鼻先から10㎝ほど離した漏斗から、室温と同じ温度の空気を3分間流した後ペパーミントの香気を3分間流し、その後空気を3分間吸入させた。起きている時にも同様に、ペパーミントを吸入した。左前腕及び左手掌の発汗量を、鼓膜温、指先の皮膚血流量を連続測定した。(図1)
 
 結果
眠っている時も、起きている時もペパーミントの香りの嗅ぐとペパーミントの香りの好き嫌いに関わらず体温調節の働きをする温熱性発汗を示す前腕部の汗の量が減少した。また、起きている時には、精神な緊張などで汗が出る精神性発汗を示す手掌部の汗もペパーミント吸入により減少した。さらにペパーミント吸入中止後に、この部位の汗の増加が認められた。(図2、図3)
さらにアンケートにてもペパーミント吸入中に「清涼感を感じた」、吸入中止後に、「吸入以前より体が暑く感じられた」との意見が多数を占めた。
 考察
本来、好き嫌いなどの情動に左右される部分が多いとされる「香り」の効果も、起きている時も、寝ているときもペパーミントの匂いの好き嫌いに関係なく、汗の量が減少したことは、少なくともペパーミントにおいては、科学的な反応(鼻腔、咽頭などに存在する冷受容器の刺激等)が影響しているものと考えられる。また、起きている時にペパーミント吸入にて精神的な影響に左右される手掌の汗が減少し、吸入中止後に汗が増加したことは、アンケートの結果等も考慮するとペパーミント吸入による「爽快感」という心理的効果が作用した結果と思われる。  これらの結果をまとめると、ペパーミントは、高温環境下において科学的にも心理的にも体を涼しく感じさせる、いわゆるリラックス効果があるといえます。
以上の事から、暑い場所でペパーミントの香りを嗅ぐ事は、一時的に涼しいと感じることができるが、汗の減少により熱が体にこもり、その後にかえって今まで以上に暑く感じ、体にもあまり好ましくないと考えられます。しかし、例えば暑い車内、室内にペパーミントの香りを漂わせる事は、クーラーなどで車内や室内が実際に涼しくなるより早く清涼感を感じることができ、有効な使い方といえます。最近、エッセンシャルオイル(精油)のいろいろな効能、効果がうたわれています。しかし、実際にその効能、効果を医学的に証明した研究はあまりなく、イメージが先行している感があります。今回はペパーミントに限って検討を行いましたが今後もその他のエッセンシャルオイルついても基礎的な実験、研究が必要と思います。(この研究は愛知医科大学第二生理学教室と日本アロマテラピー協会との共同研究の形で行われ、平成11年10月24日の第38回日本生気象学会にて発表いたしました。)
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