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東愛知新聞健康コラム

8/16掲載 日々是漢方3

日々是漢方3  (H14/08/16)

 ●疲れと漢方薬
先回は、ガンを防ぐ上薬(漢方で言う副作用が少なく長く飲めば重い病気にならない、寿命を延ばす薬のこと)十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)についてお話ししましたが、今回は、疲れや感染症を防ぐ上薬、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)についてお話しします。この薬は、名前の通り、お腹(漢方では中という)を補い、気力を充実させるという意味を持っています。最近の研究で笑いでも上昇するといわれている免疫力の指標、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の働きを高めることがわかっています。このNK細胞は、体の中で作られたガン細胞や、体に侵入したウイルスなどをいち早く発見してやっつける体内の警察官の役目をしているのです。このNK細胞の働きを高めるこの薬は、食が細く、一年中風邪を引いているといった人から、ガンなどで大きな手術を受け、免疫力が低下している人などに効果があります。
以前、40才前半の男性が3年前に胃ガンの手術をしたけれど、なんとなく疲れやすく、元気が出ないので漢方で何とかならないかと来院されました。もともとやせ型の体型の上に手術後の体重減少がそのまま回復しないままとのことでした。比較的若い人なので、最初は六君子湯(りっくんしとう)という食欲を増す薬を処方しましたが、いまひとつ効果が乏しく、次に補中益気湯を処方しました。最初はあまり変化がないとのことでしたが、服用2ヶ月後から、「体調が良くなって仕事もがんばれるようになった」と喜んでもらえました。そして、服用7ヶ月後、奥さんが3人目の子供を妊娠したとの報告もいただき、私は「仕事以外にもがんばれるようになったんだね」と冷やかしてあげました。
実は、補中益気湯は、精子の濃度、精子の運動能力が改善されることもわかっています。男性が原因である不妊症の漢方治療のファーストチョイス(第1選択薬)とされているのです。漢方診療をしているとこのような思わぬ効果にめぐりあえるのも私が漢方をやっていて良かったと思うひとつです。ただし、この薬、マムシドリンクのように、もともと食欲があって元気な人の精力剤にはなりませんのでくれぐれも誤解なきように。

西田メディカルクリニック 西田 元彦

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