東愛知新聞健康コラム
日々是漢方2 (H14/08/15)
●ガンと漢方薬
最近、新聞の訃報欄などをガンで死亡する人を多くみかけます。実際、3大死因の中でもガンはトップで全体の約30%を占め、増加が頭打ちになった心臓病、減少傾向の脳血管障害と違い、ガンによる死亡者は現在も増加傾向にあります。
私のクリニックでも、漢方治療、ホリステック医療に取り組んでいることを聞きつけたガンの患者さんからいろいろな相談を受けます。病院でガンを言わらたが漢方薬で治らないか、ガンが再発したといわれたが抗がん剤を使いたくないとか、1週間分でウン万もする薬を見せられてこれは本当に効くのかなど様々です。実際に私にできることほとんどないのですが、できるだけ時間を取って患者さん自身は何を思って、どうしたいのかをもう一度整理して考えてもらうように努力しています。ガンと言われただけで本人だけでなく家族も動揺して何が本当に大切であるかが判らなくなっている事が多いからです。
そのような話しの中で、私の所で漢方治療をしてほしいと頼まれた時にまず、処方するのが十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)です。この薬は、その名の通り、「体の色々な部分(十全)を大きく補うお湯」という意味を持っていて、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)と並んで免疫力を高める効果があります。特に、ガンを抑えるマクロファージ、キラーT細胞の働きを高めるとされ、このため、抗がん剤の補助効果だけでなく、ガンの再発予防効果などが証明されています。また、それだけではなく、ガンの患者さんの多くが悩む、倦怠感、食欲不振が改善したり、顔色、肌のつやがよくなったりするのです。もちろんこの薬だけでガンが治るわけではないのですが、少なくとも体調の回復につながり、患者さんが病気と戦う意欲が湧いてくることは患者さんにとって大きな救いと感じています。
もう1つ大切なことは、「未病を治す」という東洋医学の考えから、大きな病気になる前に、日頃からこれらの上薬と呼ばれる漢方薬を飲み続けることです。薬を飲んでいるとガン予防効果だけでなく、食事が美味しく食べられる、体が何となく楽になったなどと喜ばれます。何となく体の調子が悪いなと感じているなら、「日々是漢方」始めてみませんか。
西田メディカルクリニック 西田 元彦