東愛知新聞健康コラム
日々是養生2 (H15/09/20)
「笑いの医学的効能―最新情報」
7月19、20日に日本笑い学会総会が、「尾張名古屋はオモシロでもつ」と名古屋で開催されました。会員は、医療関係者、弁護士、大学の先生、笑い芸人など多彩なメンバー約2000名、14の支部を持つ立派な学会です。私もお手伝いを兼ねて参加しましたが、会場は熱心な研究発表で熱気ムンムンでした。
研究発表には、「痴呆症への笑い療法」「子供の笑いと自我の発達」「笑いのストレス解消効果」はては、「笑いとアトピー性皮膚炎の関係」などの多くの興味深い報告がありました。笑いがガンやウイルスを抑えるNK細胞の働きを助けるとか、痛みを抑えるホルモンが増加するといった基礎的な研究はすでに終わり、医療、介護などへの実際の応用が始まっているといえます。まさに、21世紀は笑いの世紀と言っていいのではないでしょうか。
笑うこと、楽しい事を考えることは健康に良いことは間違いないでしょう。私のクリニックでも本年7月に「コミカルクリニック寄席」を開催しました。笑って健康になってもらうため、私がまず笑いがいかに健康に良いかの話をしました。笑いの素晴らしさを理解してもらった上で、音楽漫談や、落語を聞いてもらって多いに笑ってもらおうと試みでした。何も意識しないで笑うよりも、笑うことで体の免疫力がアップしたと意識する方がより健康効果があるのです。参加者の反応は大変好評で、これからも定期的に続けていきたいと考えています。
また、最近大変驚くべき報告もありました。それは、筑波大学医学部名誉教授で遺伝子研究の第一人者である村上和雄氏が「“笑い”や“喜び”などによって眠っていた良い遺伝子が目覚め、ガン、糖尿病などのいろいろな病気の発生を抑えるらしい」と発表したのです。現在、どのような笑いの感情で、どの遺伝子が目覚めるか解析中だそうです。さらに、遺伝子研究所と笑いの殿堂吉本興業と共同研究中とのことです。まさか、笑いが遺伝子研究の対象になるとは思っていなかったのですが、このままいくと演芸場を備えた医療施設ができるのではないでしょうか。まさに、21世紀は笑いの世紀です。
西田メディカルクリニック 西田 元彦