東愛知新聞健康コラム
花粉症を考える3 (H17/02/24)
●食生活で花粉症を改善する
最近、花粉症の大きな原因は、腸管の免疫系の異常にあることがわかってきました。腸管免疫系の異常は、腸内細菌の影響を大きく受けて発生するものです。
私たちの腸内には約100種類100兆個もの細菌が住みつき共存しています。
各細菌は、その働きから善玉菌と悪玉菌に分けられますが、健康な状態ならば善玉菌の数が優勢になっているため、腸管免疫系のバランスもよく保たれています。
ビフィズス菌(乳酸菌の一種)に代表される善玉菌は、腸の動きを活発にして消化・吸収を促すほか、腸内を酸性に保って、酸に弱い悪玉菌の増殖を抑えています。
一方、ウエルシュ菌や大腸菌に代表される悪玉菌は、たんぱく質を分解して有害物質を産生し、腸内の腐敗を進める悪役です。下痢や便秘を引き起こしたり、体の抵抗力を弱めたり、また、老化やがんにも関わっているといわれています。
悪玉菌が増える原因には、加齢やストレスのほか、たんぱく質や脂質の摂り過ぎが大きな因子になっています。たんぱく質は肉や卵、魚、豆類などに含まれていますが、問題になるのは、胃で消化しきれずに腸にたどりつき悪玉菌のえさになってしまう、肉や卵の動物性たんぱく質です。
たんぱく質は、人にとって大事な三大栄養素の一つですが、普段から肉を食べすぎている人は減量に心がけ、魚や豆類から多く摂るようにしましょう。また、脂質の摂り過ぎにも注意し、植物性脂肪を中心に摂るようにしましょう。また、善玉菌は、野菜の食物繊維、また、発酵食品を多く摂ることで増やすことができます。
改めて花粉症が増加した原因を考えてみると、戦後、日本人の食生活は欧米化の影響を受けて動物性たんぱく質や脂質の摂取が多くなったほか、ケーキやスナック菓子などの菓子類の増加、インスタント食品や加工食品、ファーストフードなどの便利な食品の増加などもあり、その結果、体内の悪玉菌を増やし、体に冷えを蓄え、アレルギーを起こしやすくしているようです。魚や野菜、発酵食品を中心とする昔ながらの日本食を見直し、体質改善を目指す必要があるのではないでしょうか。
西田メディカルクリニック 西田 元彦